営業力を強化する心理テクニック#14
共通の敵
人は「共通の敵」がいると、その人に「共感」を持つ傾向にあります。ある種の“仲間意識”が生まれるからです。この現象をセールスに応用することで、見込客を獲得することができます。例えば、あなたが保険代理店の店主だったとして、社長に保険を売りたいと考えていたとします。ならば、同じ社長の立場で、「共通の敵」を作ってターゲットである社長の「共感」を誘うのです。
以下の3つを踏まえて「共通の敵」を設定するのがポイントです。
- 見込客が抱える悩みや問題を「共通の敵」にする
- あなたも「共通の敵」に悩んでいた1人だったが、何とか撃退した
- あなたが「共通の敵」を撃退した方法を紹介する
具体例を挙げましょう。以下は社長に保険を販売するために書いたセールス文章です。「共通の敵」は税金と社会保険です。この「共通の敵」を撃退する方法が「社長の手取りを最大化する15手法」です。15手法の中のいくつかに保険を活用する方法が含まれています。
社長にとっての「税金」と「社会保険」の話
僕の話をします。今は起業してから10期以上経ちますが、創業2期目のことです。創業1期目は事業をスタ ートしたばかりで売上も安定せず、役員報酬をほとんど取らずにいました。しかし、2期目から何とか事業も軌道 に乗って来ました。そこで、顧問税理士の進めもあって2年目からは年1,500万円程度の役員報酬を取るようになったのです。
当時33歳。1年前までサラリーマンだった僕は単純に年収が増えたと喜びました。”お金を稼ぐ”ことだけに目が向いていて、”お金を残す”ことまで考える余裕がなかったからです。
それまで僕はずっとサラリーマンでしたので、給与明細に記載されている「税金」や「社会保険」を見ても、「こんな に引かれるのか。ま、仕方ないか…」という感覚でした。ところが、いざ社長として役員報酬をもらうようになって「税 金」や「社会保険」のバカ高さに愕然とします。給与を【もらう側】から【払う側】に立場が変わったからです。
現在、役員報酬1,500万円の手取りは約1,038万円。つまり、約462万円は所得税・住民税・ 社会保険料ということ。さらに、オーナー社長は会社負担分の社会保険料もここにプラスされます。オーナー社長にとって「会社のサイフ」と「社長のサイフ」は表裏一体です。その分が約150万円。そう考えると、 役員報酬1,500万円には実に「約612万円」ものコストがかかる計算です。
1年で612万円、5年で3,060万円、10年で6,120万円です。必死になって稼いだお金 です。その苦労は起業されている方なら共感してくれるのではないでしょうか。それが右から左に消えていくことに、 僕はむなしさと腹立たしさを感じずにはいられませんでした。
それからです。右から左に消えていくお金を1円でも少なくしたい。次第に僕はそう考えるようになったのです。これは計算するまでもないでしょう。「税金」と「社会保険」のコストを今の半分にすることができたらどうなるか。役員報酬1,500 万円なら 1年で306万円、5年で1,530万円、10年で3,060万円にもなるわけです。
実際、そうやって残したキャッシュを頭金にして、僕は2年半で自社ビル1棟・アパート4棟・テナ ント2棟の合計7棟もの不動産を購入しました。購入するのに頭金や諸経費などで3,000万円以上のキャッシュを使っています。要は、「税金」と「社会保険」の コストを徹底的に減らせば、わずか数年でこれくらいは貯まるということです。
では、どうやって僕は手元に残るキャッシュを最大化したのか?
その方法は全部で15手法あります。今回、かつての僕と同じように「稼いでもお金が残らない…」とお悩みのオーナー社長のためにその15手法をお教えしましょう…
いかがでしょうか?
このように「共通の敵」(「税金」と「社会保険」)を設定されると、その撃退方法を知りたくなるのではないでしょうか。「共通の敵」を設定するのは「政治の世界」では常套手段です。なぜそうするのか。それが人を動かすのに効果的だと知っているからです。
ぜひあなたのセールスにもこの心理テクニックを取り入れてみてください。