テレアポでも、対面営業でも、その導入部分で大切なのは「今日の天気は…」「最近調子はどうですか?」なんていう世間話ではありません。重要なのはあなたの話に関心を示してもらうことです。この営業トークで切り出すと、見込客は必ず前のめりになる。今回ご紹介するのはそんなアプローチ話法の作り方です。
営業トークに使うアプローチ話法はセールス文章のキャッチコピー(ヘッドライン)と同じ。つまり、キャッチコピー(ヘッドライン)の目的がその後に続く文章を読ませるのと同様、アプローチ話法もその後に続くあなたの話に耳を傾けてもらえるよう見込客の関心を持続させることです。
36倍売れる!DMの書き方と作り方③~キャッチコピーとオープニング文例
では、その後に続くあなたの話とは何か?
もちろん、その話とはセールスです。そのためにアプローチ話法では見込客からセールスする「許可」をもらうのです。具体的には見込客から「何それ?詳しく聞かせてよ!」という反応を引き出すわけです。それができれば、「詳しくお話させていただきますので、×月×日のご都合はいかがでしょうか?」とセールスにつながりますよね。ここであなたはこう疑問に思っているはずです。
「では、どうすればお客様から『何それ?詳しく聞かせよ!』という反応を引き出せるのか?」
ポイントは大きく5つあります。
- 心理的ギャップを作り出す
- 見込客の興味・関心に訴える
- 商品・サービスにフォーカスしない
- 具体的にする(数字・データを入れる)
- 全部を明かさない(ほのめかす)
テレアポでも、対面営業でも、見込客にあなたの話を聞いてもらうにはツカミが肝心。一撃必殺で見込客に衝撃を与えることが重要です。そのためには「にわかには信じがたい!そんなことが本当に可能なのか?」と心理的ギャップを見込客に起こさせることです。
人は心理的ギャップが起きたとき、そのギャップを解消したいと思います。これを社会心理学では「認知不協和」というのですが、要するに、アプローチ話法ではそれを応用するわけです。
例えば生命保険には「契約者貸付制度」というものがあります。「契約者貸付制度」とは保険契約の解約払戻金の範囲内で契約者がキャッシュを引き出せる仕組みのことですが、この説明をそのまま見込客に伝えても何の心理的ギャップも引き出せないでしょう。
一方、次のように切り出したらどうでしょう?
まるで違う反応が見込客から返って来るのではないでしょうか。
「社長、実は無審査、低金利固定、返済期限なし。そのうえ使用使途も問われず、最短で翌営業日には資金調達できる方法があるのですが、その方法に興味はありますか?」
ここでいう心理的ギャップとはこういうことです。僕たちが提供できる商品やサービスは決まっていますが、それをどう伝えるかで見込客の反応も変わってきます。要は、「ものは言いよう」ということです。
とかく法人セールスと聞くと、多くの営業マンが“敷居が高い”というイメージを持っています。しかし、実際はその逆で、むしろ個人よりもアプローチしやすいのが法人セールスです。なぜなら、個人セールスでの見込客の興味は千差万別で特定が難しいのに対し、法人セールスでの見込客の興味は限定的で、結局のところ次の3つに集約されるからです。
- 売上アップ
- 経費削減
- 資金調達(業種による)
従って、法人セールスではこの2つの興味(「売上アップ」「経費削減」「資金調達」)のいずれかを満たすアプローチ話法を作ればいいわけです。反対に、法人セールスではこの2つの興味以外で“高確率なアプローチ話法を作ることはできない”と思ってください。
見込客が欲しいのは「どうすれば自分の問題(悩み)を解決できるのか?」に対する「答え」です。誰もがその「答え」に対してお金を払います。だから、アプローチ話法ではその問題(悩み)にフォーカスすることです。例えば、「保険を見直しませんか?」「就業規則を見直しませんか?」なんて商品・サービスにフォーカスしたアプローチ話法では次のようなお決まりのパターンになるわけです。
それを聞いた見込客 別に欲しいと思わない 興味・関心を失う ジ・エンド!
目から入った情報でも、耳から入った情報でも、人は具体的なものに反応します。例えばアプローチ話法に「数字」や「データ」を入れる。それだけで見込客の興味を惹き付ける効果があります。次を比べてみてください。どちらにインパクトがあって、その先を知りたいという気になるでしょうか?
- 家計を節約して貯蓄をしたい人は他にいませんか?
- 家計を18%節約して年利2.5%の貯蓄をしたい人は他にいませんか?
アプローチ話法の最大任務は次のセールステップにバトンパスすることです。アプローチ話法で全部を語ってしまう。オチを先に言ってしまう。それではもう見込客はあなたの話を聞く必要がなくなってしまいますよね。そうならないよう全部を明かさない。ほのめかす。このサジ加減が大切です。
以上の5つのポイントを踏まえたうえで「高確率アプローチ話法」を作っていきます。
とっておきの方法をお教えしましょう。実はここに「高確率アプローチ話法」の鉄板テンプレートがあります。次の__を埋めてください。__を埋めたら先ほどの5つのポイントを外していないかチェックします。そうして完成したものが「高確率アプローチ話法」です。
鉄板テンプレートはいたってシンプルです。
高確率アプローチ話法の鉄板テンプレート
実は、_____(問題)について_____(解決)できる方法があるのですが、
その方法について興味はおありでしょうか?
上記のフレーズの__を埋めるだけです。ここで使われている「方法」という言葉は「秘密」「秘訣」「仕組み」「制度」という言葉に置き換えてもOKです。具体例を挙げましょう。例えば、こんな感じです。
保険販売の高確率アプローチ話法(例)
社長、実は、ご自身の報酬支払の方法を少し工夫するだけで、社長個人の手取りを増やし、それでいて会社の社会保険料を大きく削減できる仕組みがあります。
その仕組みを採り入れると、社長と法人の支出は1円も変わらないのに、社会保険料の負担だけが年間数百万単位で削減可能になります。加えて、社長のご年齢ですと、本来受け取れなかった年金まで受け取れる可能性があります。そうなると、年金はこれまでの収入の「上乗せ分」として受け取れますので、さらに手元に残るお金が増えることになります。
社長、このような仕組みにご興味はおありでしょうか?
保険販売の高確率アプローチ話法(例)
先生、実は開業ドクターだからこそ実現できる経費削減方法があります。それは今ご加入中の生命保険の負担を「実質コスト0円」で続ける方法です。この方法なら今と比べて保障額は変わらないのに最終的に手元に残る金額が「千万単位」で違ってくると思います。
先生、このような方法にご興味はおありでしょうか?
テナント賃料適正化コンサルの高確率アプローチ話法(例)
社長、実は、御社のようにテナントを借りている企業様が入居したまま、家主様とのトラブルは一切なしで、現在のテナント賃料を平均15%程度お安くできる制度があります。平均15%程度の賃料減額というと経営上は大したインパクトにはならないかもしれませんが、その効果が3年、5年続くとなると、決してバカにできないコスト削減になる可能性がございます。
社長、その制度についてご興味はおありでしょうか?
このように切り出されたら、あなたも話を聞いてみたいと思いませんか?
ここで「何それ?詳しく聞かせてよ!」という反応が返って来たらアプローチは成功です。次のトークでセールスのためのアポイントを取り付けてください。
ではその方法について詳しくお話させていただきますので、×月×日のご都合はいかがでしょうか?
イントロ部分(導入部分)のテンプレート
さて、ここでご紹介した「高確率アプローチ話法」はテレアポでも、対面営業でも強力な威力を発揮する魔法のフレーズです。しかし、そのまま使うには“唐突過ぎるフレーズ”でもあります。そこで、どうするか。ワンクッション挟みます。次のイントロ部分(導入部分)のテンプレートを使ってください。このフレーズの後に先の「高確率アプローチ話法」を続けるのです。
社長、×分だけお時間をいただけないでしょうか?
これまで社長が一度も耳にしたことがなくて、おそらく私がお話しなければ今後も知るチャンスがないだろう____(問題解決)の方法について情報提供したいのですが、いかがでしょう?
もちろん、個別企業によって効果が違ってきます。もし私の話にご納得いただけなかったり、御社では導入が難しいという場合は遠慮なくそうおっしゃってください。いずれにしても、この方法は御社にとって____(見込客のメリット)をもたらすものです。
社長の貴重なお時間が無駄になったと感じさせない情報提供になることをお約束します。
まとめ
以上が見込客へのアプローチに使う営業トークスクリプト実例です。ここで解説した5つのポイントを踏まえ、あなたの商品やサービスと紐付けた「高確率アプローチ話法」を完成させてください。そして、営業現場で見込客に使ってみてください。これまでとはまるで違う反応が返って来ることに、あなた自身驚くことになるでしょう。「高確率アプローチ話法」はそれくらいパワフルなツールです。