危うく騙される寸前!ダイレクトメールの法則を熟知した詐欺の手口


これは実際にあった話です。以前、事務社員の求人広告をTOWNWORKに掲載したときのこと。広告掲載後しばらくして、1通のダイレクトメールが弊社に送られてきたのです。封筒の表面には【TOWNWROK掲載広告見本在中】と書いてあって、中には「払込用紙」が同封されていました。

さっそく最寄りの銀行で請求金額を振込もうとしたのですが、その前にもう一度、「振込用紙」を確認してみました。少し違和感があったからです。果たして、その直感は当たっていたました。まず地元のリクルート代理店から聞いていた広告掲載料と「振込用紙」の請求金額が違っていました。おまけにダイレクトメールの送り主は「株式会社adcreate」という東京都渋谷区の見知らぬ会社からでした。

極めつけは封筒に記載された「TOWNWROK掲載広告見本在中」という一文です。よくよく見てみると「TOWNWORK(○)」ではなくて「TOWNWROK(×)」だったのです。

結果、新手の架空請求詐欺だと判明。リクルート代理店によれば、このような手口が全国的に広まっているとのこと。実際にかなりの被害も出ていたようです。寸でのところで弊社も振り込むところでした。

では、なぜ被害にあった会社は振り込んでしまったのか?




ダイレクトメールの「40:40:20の法則」

それはこのダイレクトメールが「40:40:20の法則」に基づいて作られていたからです。「40:40:20の法則」とは、ダイレクトメールの反応を決定付ける要素のことです。その割合は次のとおりです。

ターゲット(リスト)
40%
オファー(提案)
40%
クリエイティブ(中身)
20%

今回送られてきた詐欺ダイレクトメールはまさにこの法則を踏まえたものでした。

ターゲット(リスト)

まずはターゲット(リスト)です。その詐欺ダイレクトメールは直近でTOWNWORKに広告掲載した企業に的を絞って送付している点で適切なターゲット(リスト)だといえます。

オファー(提案)

次にオファー(提案)です。広告掲載した企業にしてみると、「料金をお振込みください」と言われるのは当然のことです。中には疑いもなく受け入れてしまった方もいたことでしょう。

クリエイティブ(中身)

最後にクリエイティブ(中身)ですが、なかなか手が込んでいました。次のように求人広告(現物)が切り抜きで添付してあって、それらしい「振込用紙」が同封されていたのです。

詐欺師が教えてくれるダイレクトメールの基本

おそらくこのダイレクトメールは全国単位で何千~万通も送付されていたことでしょう。スパムメールと違ってダイレクトメールにはコストがかかります。そう考えると、郵便代だけで数百万単位のコストです。言うまでもなく、詐欺の目的はお金を騙し取ることです。コスト割れしては法を犯すリスクを負ってやる意味がありません。詐欺師は確実に儲かると踏んでダイレクトメールを送っているわけです。

では、その根拠はどこから来るのか?
“テストマーケティング”による効果検証です。具体的にはスプリット・ラン・テストがあります。

スプリット・ラン・テスト

例えば、ダイレクトメールの送付リストが30,000件あったとします。そのうち3,000件を抽出して、さらに1,000件に小分けにした3つのリストを用意します。一方、ダイレクトメールもクリエイティブ(中身)の異なる3種類を用意します。そうして3つのリストに3種類のダイレクトメールを送ってレスポンスを計測します。その結果、1番反応の高かったダイレクトメールを残り27,000件のリストに発送するのです。

リストA ダイレクトメール1 ヒット率0.3%
リストB ダイレクトメール2 ヒット率1.2%
リストC ダイレクトメール3 ヒット率0.7%

経験上、ダイレクトメールはテストマーケティングの母数が適正(最低1,000件以上が目安)なら、本番でヒット率が大きくブレることはありません。よって、このような手順を踏むことで、ダイレクトメールの費用対効果を事前に粗方予測できてしまうのです。

まとめ

今回の記事のとおり、ダイレクトメールで成功するためには詐欺師がやっているように次の2つのポイントを抑えておく必要があります。これは最低条件です。

  • ダイレクトメールの「40:40:20の法則」に照らし合わせる
  • 本番の前にスプリット・ラン・テストを実施する

弊社にも日々たくさんのダイレクトメールやFAXDMが送られてきます。しかし、その大半は「40:40:20の法則」の要素のどれかが欠けているか、あるいは、すべての要素が欠けているものばかりです。それではカネをドブに捨てているのと同じです。新規開拓やセールスでダイレクトメールやFAXDMを送るときは必ずこの2つのポイントを忘れないようしてください。




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神奈川県生。早稲田大学商学部卒業後、大手国内生保から外資系保険会社を経て、平成17年7月に営業支援会社「株式会社おまかせホットライン」を創業。創業以来一貫してダイレクトマーケティングを実践し、DM・FAXDM・WEB媒体を駆使した売らずに売れる「仕組み」の構築を得意とする。そのノウハウを公開する自社セミナーは毎回キャンセル待ちになるほど盛況を誇る。