セールスがうまくいかない要因には大きく2つあります。ひとつはアプローチの問題。もうひとつはプレゼンテーションの問題です。今回はこのうちプレゼンテーションの問題の解決策をご紹介します。
- アプローチの問題 → 見込客に話を聞いてもらえない
- プレゼンテーションの問題 → 見込客に話を聞いてもらっても成約しない
なお、アプローチの問題については下記の記事でその解決策を詳細解説しております。「どうやって見込客に話を聞いてもらえばいいのか?」とお悩みの方はぜひ併せてお読みください。
営業の基本・コツ・極意を総まとめ!見込客に話を聞いてもらう秘訣
さて、話を元に戻します。今回のテーマに関して保険営業マンの方から次のような相談をいただきました。同じような悩みを持っている方も多いと思いますので、この相談をシェアしましょう。保険営業マン以外の方はご自身のビジネスに置き換えて続きをお読みください。
いつもお世話様です。営業方法のアドバイスをお願いします。『社会保険料劇的削減プラン』を提案すると、たしかに社長も興味を持ってくれて話を聞いてくれます。でも、そこから先につながらない状況です。どこに問題があるのでしょうか?
売れる営業マンの秘密は後出しジャンケン
実は、「売れない営業マン」と「売れる営業マン」には営業プロセスに決定的な違いがあります。結論からいうと、次のように【順番】が逆なのです。
売れない営業マン | 商品説明 → クロージング | 売れる営業マン | クロージング → 商品説明 |
これを見て「商品説明せずにクロージングなんてできるわけない!」と思ったでしょうか。しかし、売れる営業マンは実際にそれをやっているのです。つまり、クロージングによって見込客に購入の意思確認した後で商品説明をしているわけです。"後出しジャンケン”と同じです。
ではなぜそのようなことが可能なのか?
それは、「売れない営業マン」と「売れる営業マン」とでは“売りモノ”が違うからです。「売れない営業マン」は【商品・サービス】を売ろうとします。一方、「売れる営業マン」が売るのは【問題解決の方法】です。その結果、両者の営業プロセスにはこのような違いが生まれるのです。
売れる営業マンの3ステップ営業法
見込客を前にすると、多くの営業マンは挨拶もそこそこに、「それでは本題です」といきなり商品・サービスのパンフレットを広げて説明を始めてしまいます。しかし、売れる営業マンは違います。商品・サービスの説明は一番最後なのです。彼らの営業プロセスは大きく3つです。
冒頭の保険営業マンのケースで説明しましょう。
STEP.01 セールスの「許可」をもらう
このステップはアプローチです。先ほどのとおり、売れる営業マンは【商品・サービス】(×)ではなく、商品・サービスがもたらす【問題解決の方法】(○)を”売りモノ”にしています。従って、「実は法人と個人の支出を1円も変えずに、社会保険料だけを劇的に削減できる方法があるんですけど、その方法に興味はありますか?」と見込客に確認します。その結果、
- 「興味あり」の場合 → 具体的な「方法」を提案する
- 「興味なし」の場合 → 提案しない(提案するだけ時間と労力のムダだから)
実は、営業プロセスにおいてSTEP.01はきわめて重要です。多くの営業マンがこのプロセスをすっ飛ばして勝手にセールスをはじめて失敗します。それでは見込客に心理的な抵抗(売り込まれている感)を植え付けてしまうからです。こうなると、見込客の心のシャッターは閉じてしまいます。ゆえに、そうならないように賢く質問して見込客からセールスの「許可」をもらうのです。
営業の基本・コツ・極意を総まとめ!見込客に話を聞いてもらう秘訣
STEP.02 具体的な「方法」を提案する
STEP.01で「興味あり」と見込客が答えたら今度はその方法を教える番です。具体的には社会保険料削減の方法です。プレゼンの進め方は次のとおりです。
これこれ、こういう仕組みで社会保険料を削減できます。具体的な効果はこれくらいあります。1年で××万円、5年では××万円の削減メリットになります。ただし、この効果を得るためには条件があります。保険というツールを活用することです。この方法のデメリットはこうで、手続きはこうなります。社長、この方法に興味を持っていただいたなら、次回は社長の場合は実際にいくら削減できるのかを具体的にシミュレーション可能ですが、どうされますか?
こんな感じです。ここで「どうされますか?」と聞いてシミュレーションを依頼されたら、さらに次のようなヒアリングを続けます。要は、ここで見込客の【満足条件】をすべて引き出しておくのです。
- 削減対象者(社長本人、奥様、役員・従業員など)
- 年齢及び健康状態
- 現在の報酬(削減対象者)
- そのうち外部積立に回せる保険料(予算)
- 現金化するタイミング
このときおおよその社保削減額も伝えておきます。『社会保険料劇的削減プラン』では保険加入後の社会保険料削減額は「保険料×約30%」で計算できます。よって、「社長の場合ですと、おそらく年間××万円、5年で××万円くらい削減できると思います。社長、実際にこれくらい削減できたとしたら、導入を検討されますか?」と、ここで意思確認をしておきます。
以上がSTEP.02です。
お分かりのとおり、この時点で仮クロージングは済んでいます。なぜなら次回のSTEP.03で「保険設計書」を見せても社会保険料の削減額は変わらないからです。従って、ここで計算した削減額で導入する気があるのか。それとも、ないのか。要はこれだけの話なのです。
重要ポイント
ここで最重要ポイントがあります。STEP.02までは絶対に具体的な保険商品の説明をしてはいけないということです。(ゆえに保険設計書もパンフも見せない)なぜなら見込客にしてみると、「保険」という商品が欲しいわけじゃないからです。あくまでも欲しいのは「社会保険料の削減」という結果です。保険に加入することではありません。ココ、間違えると、成約しませんので注意してください。
STEP.03 最後に「商品説明」を加える
ここではじめて商品・サービスの説明に入ります。STEP.02までで仮クロージングは済ませています。よって、STEP.03では要望どおりの保険プランを見せて、「具体的にはこうなります」と補足説明を加えて、再度、意思確認します。
以上の説明のとおり、今回のご提案ではこれだけの削減効果があって、×年後には社長と法人の手元キャッシュがこれだけ増えることになります。社長、どうされますか?
その結果、「やります」となったら晴れてご成約というわけです。このとき注意点があります。後で見込客から「やっぱりやめた」と言われないよう、先回りして見込客の不安材料を取り除いておくのです。
例えば、『社会保険料劇的削減プラン』なら税理士から余計な横槍が入らないように事前に手を打っておくことです。具体的には、「税理士さんでも保険税務については詳しくない方がいらっしゃるので顧問税理士さんにコレを渡しておいてください。そうすれば今回のスキームについて問題なく経理処理していただけるはずです」として、
- 保険税務の経理処理の仕方
- 社会保険料削減の根拠
- 不明な点の連絡先(自分の連絡先)
などをプリント(紙)にして税理士に渡してもらうようにするのです。
まとめ
先出しジャンケンと後出しジャンケン。「勝つのはどちらか?」は誰でも分かるでしょう。相手の出方を待って勝てるバリエーションを出した方が勝てるに決まっています。ところが、セールスでは多くの営業マンが相手の出方を待たずに先出しジャンケンをして負けてしまいます。
一方、売れる営業マンは皆、今回ご紹介した3ステップの営業プロセスのとおり、後出しジャンケンによってセールスします。それがセールス必勝法だと経験上知っているからです。
見込客に話を聞いてもらっても成約しない。そんな悩みをあなたもお持ちなら、ぜひ今回ご紹介した3ステップでセールスしてみてください。(繰り返しますが、商品・サービスの説明は一番最後ですよ)