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異業種アライアンスを成功させる3つのポイントとたった1つの注意点

アライアンス、コラボ、業務提携、ジョイントベンチャー、呼び方はいろいろですが、このページをお読みの方の中にも「売上拡大のために異業種とアライアンスしたい」と思っている方が大勢いるのではないでしょうか。実際、弊社には次のような相談メールがよく寄せらています。

いつもお世話になります。営業で一番ネックになるのは集客だと思います。そのためのポイントを田中さんから伝授いただいているわけですが、手っ取り早くやるには、顧客を持っている方とのアライアンスだと思います。しかし、アライアンス候補にアプローチしても思った通りにアライアンスできないケースがほとんどです。

原因は、アライアンス先も自分の案件と優先順位があり、構っていられないというところだと思います。いかに、こちらの提案にメリットがあり、すぐにでも飛びつきたいと思わせることが重要と思いますが、うまく伝わらないのか。表面的にはいいねえとか、もっと情報持ってきてよというのですが、その先の実利の営業として先方からの案件が上ってこないのが実情です。何か良いポイントがあればご伝授お願いします。

そこで、今日は異業種とのアライアンスをテーマにお届けします。これまで弊社では400社近い法人・個人事業主とアライアンスをしてきた経験があります。もちろん、うまくいくケース、そうでないケース、いろいろありました。今回はそんな経験から学んだ「知恵」をご紹介したいと思います。

通常、アライアンスが失敗するパターンは大きく2つです。

  • そもそもアライアンスしてもらえない
  • アライアンスしてもうまくいかない

では、それぞれどこに問題があったのか?
その原因と成功ポイントについて解説を加えていきましょう。




そもそもアライアンスしてもらえない理由

この原因は簡単です。あなたのオファー(提案)に相手が魅力を感じていないのです。有難いことに、弊社のメールボックスには異業種の方から、あるいは同業の方から頻繁にアライアンスのオファー(提案)をいただいています。しかし、たいていその答えは「NO」です。

というのも、こんなオファー(提案)ばかりだからです。

御社のメルマガで弊社の〇〇(商品・サービス)を告知してもらえないでしょうか?
もちろん、売れたら売れた分だけマージンをお支払いいたします。

 
中には、「ぜひ田中さんのライティングスキルで商品案内文も作ってもらいたい。もちろん、売れたら報酬がお支払いします」という図々しいオファーもあります。

アライアンスで忘れてはいけない事実

このようなオファー(提案)をしてくる方は重大な事実を忘れています。それは“相手は別にアライアンスしたいとは思ってない”ということです。そもそもお客様を紹介して報酬をもらう。商品・サービスを売って報酬をもらう。これは当たり前の話です。

例えば、保険営業マンには税理士とアライアンスしたい方が大勢います。その主な理由は税理士の顧問先を紹介してもらいたいからでしょう。では税理士は顧問先を紹介するとどんな見返りがあるのかというと、たいていは売上手数料のキックバックというのが相場です。

しかし、税理士にとって、それは本当に魅力のあるオファー(提案)でしょうか。お客様を紹介して報酬をもらう。商品・サービスを売って報酬をもらう。そんなのは当然である。おそらくたいていの税理士はそう考えています。つまり、それではダメだということです。

そうならないための答えはひとつです。「これを断ったらアホでしょ!」と思えるくらいのオファー(提案)をすることです。そのアライアンスが絵空事で終わるか、それとも現実のビジネスとしてスタートできるかはすべてオファー(提案)にかかってきます。

異業種とのアライアンス3つの成功ポイント

従って、どうしてもアライアンスを成功させたければ相手が断れないような思い切った提案をすることです。例えば、あなたが相手からお客様を紹介してもらう場合や顧客リストを提供してもらう場合、「そこから上がった利益を100%差し上げます!」というくらいのインパクトが必要だということです。

他にも次のようなオファー(提案)が考えられます。

(オファー)お客様(顧問先候補)を無料で紹介する
その代り、そのお客様(顧問先候補)に保険提案するときに同行訪問して後方支援をしてほしい。もちろん、それで成約したら販売手数料をキックバックする。

(オファー)顧問先に送付するニュースレターの郵送費・印刷費を全額負担する
その代り、FP相談の案内チラシを1枚同封させてほしい。資料請求などがあったら1件につき○,○○○円をお支払いする。さらに、成約したら販売手数料をキックバックする。

(オファー)既存客に節税対策セミナーを企画するので講師をしてほしい
その代り、保険による節税効果をトピックに入れてほしい。仮に参加者が顧問先になっても紹介料は不要。しかし、既存客が追加契約に至った場合は販売手数料をキックバックする。

いかがでしょうか?
このようなオファー(提案)をされたら税理士も興味を示してくれると思いませんか。

アライアンスのオファー(提案)を考える成功ポイントは3つです。

ポイント1.相手へのリサーチをしっかり行う

まず1つ目です。相手へのリサーチをしっかり行うことです。ここを軽視すると、まず間違いなく相手にされません。またまた卑近な例で恐縮なのですが、弊社にはよくWEB制作会社からアライアンスのお誘いがあります。たいていその内容は「田中様のメルマガ読者様に私どものWEB制作サービスをご紹介していただけないでしょうか?」というものなのです。

しかし、これなどは弊社でWEB制作もやっていることを知らずに連絡してきているわけです。従って、このような場合は何と言われようとも結果はスルーです。別に、弊社ではWEB制作に関してアライアンスしないと決めているわけではないのです。

問題は相手のことをロクにリサーチしもせずにアプローチしてくる相手と「アライアンスなんてできるか!」という話。少なくとも相手はどのようなビジネスをやっていて、どのようなものを求めているのかについての「事前リサーチくらいはしなさいよ。それが礼儀でしょ!」ということです。

ポイント2.相手のメリットを徹底的に考える

次に2つ目です。相手のメリットを徹底的に考える。考えるだけではダメです。実のところ、「アライアンスの相手が何を求めているのか?」については相手自身もよく分かっていないことが多いのです。

従って、まずは「あなたが求めているのはこれではないですか?」と相手に気付かせたうえで、「私のオファー(提案)で求めているものが手に入りますよ!」と整理して伝えられるようにします。デメリットもあるはずです。あれば、そのデメリットを解消する対策もセットで考えます。そうやって、ひとつひとつオファー(提案)に対して相手が「NO!」と言えない理由を積み上げていくわけです。

ここでの注意点は次の3つです。

主語を「あなた」にして考える

あなたが相手ならどういう相手とアライアンスしたいのかを考えると分かります。「何でもしますからお願いします!」という相手とアライアンスしたいでしょうか。そんな相手はノー・サンキューでしょう。当然、自分に具体的なメリットを与えてくれる相手と組みたいと思うはずです。

相手のリスクを取り去る

お互いビジネスである以上、リスクをゼロにするのはなかなか難しいケースもあります。しかし、そうであっても想定されるリスクを予め説明し、それに対してどのような予防策や対応策を行うのかまで説明することが必要です。

相手の仕事を減らす

誰だって面倒くさいことは嫌いです。当然、アライアンスの相手もそう考えています。とにかく相手の仕事を減らす。「そんな簡単なことでいいわけ?」と思わせることが重要です。ごく稀に「何ができるのかお互いアイデアを出し合いましょう!」とオファー(提案)をしてくる人がいます。ナンセンスです。考える。アイデアをひねり出す。このことの大変さをまるで分かってないからです。

ポイント3.相手に断られない非常識なオファー(提案)を作る

最後です。相手に断られない非常識なオファー(提案)を作る。身も蓋もないことですが、相手に断られてしまうのは、そのオファー(提案)に魅力がないからです。では、どうすれば魅力的なオファー(提案)になるのかというと、簡単にいえば、

  • これまでオファー(提案)されたことがない
  • 非常識かつ大胆で
  • 太っ腹な

このようなオファー(提案)です。ケチで、当たり前のオファー(提案)では相手は反応してくれません。もしあなたがアライアンスしたい相手がより多くの経営資産を持っているなら、なおさらです。

彼らにとってはアライアンスのオファー(提案)は日常茶飯事だからです。従って、「御社の顧客リストに弊社の商品(サービス)を紹介していただき、そこから成約になったら、しかるべき報酬をお支払いします…」などはまず成功しないオファー(提案)だと考えましょう。

ここでの注意点は次の3つです。

ぶっちゃける

ウマイ話にはウラがあると誰もが警戒します。アライアンスは長期的なビジネスの信頼関係があってはじめて成立するものです。お互い腹に何かを含んでいては良好な関係は続かないでしょう。ぶっちゃけベースであなたの戦略や目的を話しましょう。

証拠・根拠を提示する

あなたのオファー(提案)は実際のところどうなのか。相手が一番知りたい点です。端的にいうと、「どれだけ儲かるのか?」「その証拠・根拠は?」という話です。当然、その証拠・根拠が希薄だと話が前に進みませんから、少なくとも利益算出のシミュレーションを提示できるくらいの準備は必要です。

顧客のメリットを考える

アライアンスで見落としがちな点が顧客のメリットです。あなたが経営資産を提供する側だとしても、また反対に提供される側だとしても、いずれにしても、どちらかの顧客に対して商品・サービスを販売することで利益を得るアライアンスが大半です。ともすると、アライアンスの話は「あなた」と「相手」とのメリットに終始するあまり、「顧客不在」になりがちです。しかし、そうなると必ず失敗します。言うまでもなく、「あなた」と「相手」に本当の利益をもたらしてくれるのは顧客だからです。

アライアンスしてもうまくいかない理由

アライアンスの相手と「お互い頑張りましょう!」という話になって、何の問題もなく契約書も取り交わし、後はビジネスをスタートするだけの状態です。当然、この後はうまくいくケースもあるでしょうし、残念ながらそうでないケースもあるでしょう。

しかしながら、実はその前段階で終わってしまうアライアンスが大半です。「空中分解」してしまうのです。おそらく、「過去にアライアンスに取り組んだけど、うまくいかなかった」という方はこのパターンが多いのではないでしょうか。結局、何も始まらなかったわけです。

では、その原因は何でしょう?
とくにあなたが相手にアライアンスのオファー(提案)を持ちかけた場合で、本気で成果を出したいと考えているなら覚えておいてください。うまくいかない理由はほぼこれだと言い切ってもいいでしょう。

アライアンスでは役割分担に要注意

それが、役割分担です。役割分担は危険です。役割分担は、一見すると、当たり前でフェアです。ところが、こんなことをやっていては、いつまで経ってもスタートできませんし、ビジネスの主導権をあなたが握ることもできません。結論から言います。言い出しっぺのあなたが全部やるのです。

例えば、何度も打ち合わせして、「では詳細は次回のお打合せで…」なんて言っていては日が暮れてしまうわけです。ビジネスプランの「たたき台」はあなたが用意してください。その「たたき台」を見せて、相手に判断を仰ぐ方が効率的ですし、話も前に進みます。

元来、人間は面倒くさがりな生き物です。どれだけ相手にメリットがあって、どれだけ相手の顧客にもメリットがあっても、そもそもがアライアンスのための業務はイレギュラーなものなので、本来業務に加えてやるべきことが増えれば、たいていの人は動きが鈍くなるものです。

従って、アライアンスを成功させるためには、あなたがリーダーシップを発揮して相手に対して“据え膳上げ膳”の状態にしてあげることが重要になってきます。そのためにやることは2つです。

まずパートナーの業務を徹底的に減らしてあげること。そうやって、パートナーの業務を「後はこれだけです」の状態にしてあげるのです。次に、「後はこれだけです」の業務をパートナーに確実にやってもらうようにすることです。

まとめ

「等価交換」という言葉があります。その意味は読んで字の如く。等しい価値を有するものを相互に交換することです。アライアンスではこの等価交換というコンセプトがきわめて重要です。むしろ、あなたから提携をオファー(提案)する場合はあなたの交換する価値の方が勝っている必要があるでしょう。

その理由は冒頭のとおり、“相手は別にアライアンスしたいとは思ってない”からです。ゆえに、あなたが交換する価値が勝っていないと、相手には進んでアライアンスしようというインセンティブが働かないわけです。ぜひ今日の記事を参考に相手が「NO!」と言えない非常識なオファー(提案)を考えて、そして最高のアライアンスパートナーを見つけてください。役割分担が要注意なのもお忘れなく。